2017年5月26日金曜日

マリアの井戸/Mary's Well

マリアの井戸/Mary's Well
公園

ナザレに着いて最初に訪れたのはマリアの井戸でした。
なにがなんでもそこに行きたかったというわけではなく、宿を探す道すがらにあったからです。
この井戸は公園にあるのでいつでも行くことができますし、入場料をとられることもありません。

さて、上の井戸についてですが、ガイドブックやネットでは上のような写真を示して「マリアの井戸」としているものが多くあります。そのためか、これを撮影して満足して帰っているように思われる人も見かけました。

しかし、これを写して/見て、マリアの井戸の一体何が分かったというのでしょうか。

マリアの井戸は、これの裏側に回ってみなければ、ほとんど何も分かりません。
裏側から見た「マリアの井戸」です。外観は同じように思えますが、フェンスが貼られています。

近づいてフェンスの向こうを見ると、


なにやら井戸のような、しかし井戸とは違うようにも思える構造物が見えます。ご覧の通り、ガイドブックや多くの人のサイトで「マリアの井戸」として示している構造物は、井戸ではなくその屋根だったのです。

「マリアの井戸」が偶像視されているのはギリシャ正教会が、「ガブリエルからの受胎告知は井戸のそばで行われた」から、としているためです。一方西方教会は、屋内で受胎告知があったとしています。しかしそのどちらにも根拠はありません。福音書は受胎告知の場所については何も語っていないからです。

もちろん、井戸で受胎告知が行われた可能性はあります。井戸から水を汲むのは女性の仕事でしたから。しかし、これについて議論しても無意味です。受胎告知の場所は知る由もありませんし、分かったところでそれが信仰に影響するようなものではないからです(そもそも受胎告知があったのかという問題もあるわけで)。

と、マリアの受胎告知場所か否かについて一応の見解を示したところで、いよいよ話の本筋です。

実のところこの「マリアの井戸」は、ギリシャ・ローマ時代つまりイエスがいた時代から、ナザレにおいて唯一の給水場であり、かつ公衆浴場だったのです。

イエスもきっと、このマリアの井戸にあった公衆浴場でひと風呂浴びたに違いありません。

https://en.wikipedia.org/wiki/Mary's_Well
https://en.wikipedia.org/wiki/Ancient_Bath_House_of_Nazareth