2017年5月27日土曜日

カナ/Cana

カナ/Cana

この「カナ」は"Cana"でも通じますが、正確には"Kafar Kanna"です。イエスが最初の奇跡を行ったところです。と、紹介したいのですが、ここのカナは福音書に出てくる「カナ」ではない可能性が高いです。イエスが水をぶどう酒に変えたのは、ナザレ北東にある「カンナ/Kanna」ではなく、北10数キロのところにあるキルベト・カーナ/Khirbet Qanaだとする説が有力です。

Canaは「葦」を意味し、葦が生えるようなところだったと考えるのが普通だからです。今のキルベト・カーナには人は住んでおらず、昔の遺跡が転がっているところになっています。現在は、発掘調査が行われています。

調査の成果に期待したいところですが、おそらくはカンナではなくカーナこそが、ぶどう酒の奇跡やカペルナウムの瀕死の子を癒やした奇跡が行われた場所、ナタナエルの故郷であるカナとされるようになるのでしょう。そのときここのカナは一体どうなってしまうのでしょうか。
カナの中心をはしっているルート754です。
ナザレにつながっているので交通量が多いです。
幹線道路沿いは小規模なお店が並んでいます。
地元で生活している人は2000年ほど前にここで(仮)ぶどう酒の奇跡が行われたことをほとんど意識していないのでしょう。
日本でも泉の由来が空海にあっても、地元の人は知らないし、知っていても信じてさえいないようなものでしょうか。

現代のカナもナザレのようにすっかり世俗化しています(世俗的でないところなぞ今も昔もないわけですが)。
イスラエルでよく見かけた日本発のキャラクターといえば、サンリオのキティちゃんです。
ドラえもんやマリオは見かけませんでした。ピカチュウ(PikaJew)は時折り見かけました。
 街道から少し裏に回ると石畳の道があり、その先に教会があります。
壁に刻まれているのはヨハネ2章の冒頭です。
福音書には石の水瓶の数まで書かれていたんですね。すっかり忘れていました。

婚礼教会/Cana Wedding Church
無料、無休(8:00-12:00, 14:00-18:00)
カトリック、男子修道院

カナで教会を建てたならそのような名の教会になるのも必然でしょう。
婚礼教会の外観です。美しい外観ですが、それもそのはず、建てられたのは1900年代の始め頃、リフォームされたのが1900年代の終わり頃だからです。

もちろん、古ければありがたく、新しければありがたくないと言いたいのではありません。
その教会の地下に収蔵されている石の水瓶が問題なのです。
あたかも6つの石の水瓶の1つであるとでも言いたげな石臼です。
反対側から写した同じ石臼(水瓶?)です。

福音書筆者によれば、イエスが水を注がせた6つの石の水瓶には80から120リットルの水が入ったそうです。もちろん、そのような「聖遺物」が今の時代まで残っていて保管されているとしたら驚くべきことですが、当然そのようなことはなく、ないならないでそれでよいのに、なぜこうもわざわざそれらしいものを展示するのでしょう。いやらしさを感じずにはいられません。
 近所のお土産屋です。
土で作った水差しに"Cana"と書く勇気。 水を入れたらワインになるというのなら買ってもいいですが。

この点ではナザレも負けておらず、普通のサンダルが「ジーザス・サンダル」と銘打たれて売られていました。どこらへんがジーザスだったんでしょうか。

ナタナエル・バルトロマイ教会の外観です。
この日は閉まっていました。

ナタナエル・バルトロマイ教会/Nathaniel Bartholomew Church


トルマイの子ナタナエルの出身地は明らかにされていますから、当然教会を建てたくなるものですが、ワインの方がずっと人気が高いようです。わたしなら断然、偽りのない内面の持ち主の方に興味がありますが。わたしもそう呼ばれたいものです。
現代のカナの街並みです。
カナ自体はいたって普通の街です。
ぶどう酒の奇跡の街だと期待を抱くからがっかりするだけです。

この日はバスでナザレまで戻りました。
安息日でも夕方になれば日が暮れる前からバスは運行しています。