2017年6月2日金曜日

嘆きの壁/Western Wall

嘆きの壁/Western Wall

エルサレム城壁内にはサインがあるので、地図がなくてもサインに従いながら歩いていれば、ユダヤ人の聖地(?)の「嘆きの壁」にたどり着けます。しかしサインは、"Wailing Wall"ではなく"Western Wall"と「西側の壁」と書かれています。ユダヤ人は神殿のあった方に向かって祈っているようではありますが、嘆いている感じではありませんでした。
正確に理解している人にとっては説明不要の繰り返しになりますが、エルサレムの神殿はソロモンが王のときに建てられました。それがいわゆる第一神殿ですが、バビロンによって破壊されました。その後ペルシャの支援によって、ネヘミヤ、エズラの時代に再建されたのが、いわゆる第二神殿です。これをヘロデ大王が改修し壮麗なものにしました。これは第三神殿といってしまうと都合が悪いので、しかし第二神殿とは区別されることから、「ヘロデ神殿」と呼ばれています。イエスらが見たのはその壮麗な「ヘロデ神殿」でした。
そのヘロデ神殿もその外壁も、ユダヤの反乱で破壊されましたが、幸いなことにその外壁の西側の一部は残ったそうです。しかし、この西側の壁も後に積み上られ、ヘロデ大王当時のものは下から7段までだそうです。
逆に言うと、下の7段まではイエスらも見たであろうものです。もっとも、神殿は東向きに建てられていたので、西壁は神殿の裏側ということになりますが。
これを見てもわたしはまったく祈りたい気にも嘆きたい気(涙を流したい気)にもなりません。ユダヤ人ではないからです。
わたしとしては、2000年前からあるものを見ることができただけで十分です。
祈りの様子です。この様子は有名ですから皆さんご存知でしょう。
もしわたしが愛国心の非常に強い日本人だとして、富士山を他国に占領されてしまい、日本人だけは絶対に入れないとされたなら、少しは嘆くこともあるかもしれません。
女性専用の祈りのエリアです。
なお、男性はキッパ等被り物をしなければなりません。
入場ゲートでは手荷物検査があります。聖墳墓教会でもこうしたゲートはありませんでした。

さて、この西壁付近で油断していたところ、黒づくめの「正統派」ユダヤ教徒の格好をした人が「友好的に」握手を求めてきました。英語がどれだけ通じていたのか分かりませんが、どこの国から来たのか等を話していると、そのユダヤ教徒は祈り始めました。「ああ、わたしのために神に祈ってくれるのか、ありがたいことだ」と思っていたら、手を出して「カネをくれ」と。わたしに代わって神に祈ってくれたのだからまあいいかと心付けを渡したのですが、「もっとくれ」と。

ところで、「正統派」を括弧書きで書いたのは、何をもってユダヤ教の「正統」とするか疑問に思われるからです。今の黒づくめの格好が敬虔な職業的ユダヤ教徒のスタイルとして、今は確立していますが、ユダヤ教の歴史においてはごく最近の事柄です。